「日本の医療保険制度は本当に優れている?海外との徹底比較」

日本の健康保険証、皆さんもお持ちですよね?病院や薬局で提示するだけで、医療費の一部を保険でカバーしてもらえる便利なカードです。しかし、この保険証のしくみや限度額について、どこまで理解しているでしょうか?今回は、日本の健康保険制度について少し深掘りし、さらには海外の医療制度と比較しながら、その魅力と課題を探ってみたいと思います。

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■健康保険証の基本的なしくみ

まず、健康保険証の役割からおさらいしましょう。日本の健康保険制度は、国民皆保険といって、全ての国民が何らかの公的医療保険に加入しなければならないという制度です。会社員や公務員は「被用者保険」に、個人事業主や無職の人は「国民健康保険」に加入します。

 

 

 

健康保険証は、この保険に加入していることを証明するカードで、病院や薬局で提示することで、医療費の自己負担分が3割(年齢や所得により異なる)になります。例えば、1万円の診療費がかかった場合、健康保険証を提示すれば3,000円で済むわけです。これによって、高額な医療費を心配することなく医療サービスを受けることができるのが、日本の健康保険制度の大きなメリットです。

 

 

 

■高額療養費制度と限度額

とはいえ、重い病気や大きな手術を受けた場合、一度に多額の医療費がかかることがあります。そんなとき、経済的な負担を軽減するために「高額療養費制度」という制度があります。これは、1か月の医療費が一定額(限度額)を超えた場合、その超えた分を払い戻してくれる仕組みです。

 

 

 

限度額は年齢や所得に応じて異なり、例えば、標準的な所得の方の場合、1か月の限度額は約8万円程度になります。これを超える部分は、後から払い戻されるため、実質的にその月に支払う医療費は8万円までとなります。さらに、一定の条件を満たせば、事前に「限度額適用認定証」を発行してもらい、病院の窓口での支払いを限度額までに抑えることも可能です。

 

 

 

この制度のおかげで、日本では大病を患っても、医療費が原因で家計が破たんするリスクは比較的低く抑えられています。

 

 

 

■海外の医療保険制度との比較

では、日本の健康保険制度は、他の国と比べてどうなのでしょうか?ここで、いくつかの主要国の医療保険制度を見てみましょう。

 

 

 

アメリ
アメリカは、日本とは対照的に、国民皆保険制度が整備されていません。多くの人が民間の健康保険に加入していますが、保険料が非常に高額であることが多く、加入していない人や、加入していても医療費の自己負担が大きいケースが多々あります。たとえば、救急車を呼ぶだけでも数百ドルから千ドル以上かかることがあり、治療費が支払えずに破産するケースも珍しくありません。

そのため、アメリカでは医療費の高さが大きな社会問題となっており、医療費の負担を軽減するために、オバマケアなどの改革が行われてきましたが、それでも依然として日本と比べると医療費負担は大きいです。

 

 

 

■イギリス
イギリスは、日本と同じように国民皆保険制度が整備されています。国民保健サービス(NHS)という公的な医療サービスがあり、基本的な医療は無料で提供されます。ただし、無料であるがゆえに、病院の待ち時間が長くなりがちで、特に非緊急の手術や専門医の診療を受けるには数週間から数か月待つこともあります。

一方で、民間の医療保険に加入すれば、より早く、快適なサービスを受けることができるため、経済的に余裕のある人は民間保険を利用することも多いです。

 

 

 

■ドイツ
ドイツも国民皆保険制度を採用しており、公的な医療保険と民間の医療保険の両方があります。基本的には公的保険に加入することになりますが、収入が高い人や自営業者は民間保険を選ぶことも可能です。ドイツの医療制度は比較的質が高く、患者の負担も少ないのが特徴です。

ドイツでは、医療費の負担が所得に応じて異なり、低所得者ほど医療費が軽減される仕組みになっています。また、医療費の上限額が設定されているため、高額な医療費が発生した場合でも、経済的な負担は抑えられています。

 

 

 

■日本の保険制度の課題と将来展望

ここまで、日本と海外の医療保険制度を比較してきましたが、日本の制度には非常に多くの利点がある一方で、いくつかの課題も浮かび上がります。

 

 

 

まず、日本の健康保険制度は、高齢化の進行に伴い、財政的な負担が増加している点が挙げられます。医療費の増加に対応するためには、保険料の引き上げや自己負担の増加が検討されていますが、これが国民にとっての負担増につながる可能性があります。

 

 

 

また、高額療養費制度があるとはいえ、実際の医療費が高額になれば、限度額を超える前でも一時的に大きな出費が必要になる場合もあります。このため、限度額を抑えた支払いを事前に行うための「限度額適用認定証」の認知度を高めるとともに、制度の改善が求められています。

 

 

 

■まとめ

日本の健康保険証は、世界的に見ても非常に優れた仕組みを持っていると言えます。高額療養費制度や限度額の設定により、多額の医療費がかかる場合でも家計への負担を軽減できる点は、安心して医療を受けるための大きな支えです。

 

 

 

しかし、一方で高齢化社会に対応するための制度の見直しや、制度の運用に対する認知度の向上が課題となっています。これからの日本では、持続可能な医療制度の構築がますます重要になっていくでしょう。

 

 

 

海外の事例を参考にしながら、日本の医療制度をより良くするために、私たち一人ひとりが健康保険制度について理解を深め、積極的に情報を共有していくことが求められています。日本の制度が持つ魅力を再認識し、未来に向けた改善に向けて考えていきましょう。